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3. クリンチング・ファスナーは金型

5.クリンチング・ファスナー最大のトラブル要因

4.クリンチング・ファスナーのあゆみ(歴史)

クリンチング・ファスナーを最初に発売したのは、 米国PEM社(ペム)です。  米国PEM社は、1942年の創業以来、 クリンチング・ファスナーのパイオニアとして、 数多くの製品を市場に提供しており、 現在ではコンピューター・通信機器をはじめ、 自動車・航空宇宙・産業ロボット及びあらゆる電気電子機器製品等の分野で、 クリンチング・ファスナーのデファクトスタンダードとして 圧倒的なマーケットシェアーを有しています。
250種類を超えるクリンチング・ファスナー類が販売されていて、 250種類のそれぞれが、使用目的や加工方式の異なる別のタイプの クリンチング・ファスナーとなっています。  ねじや ねじだけでなく、 鋼板こうはん に取り付けるものであれば、 何でも、クリンチングにしてしまおうという考えで、 多くのラインナップを考案して来たわけですが、 1つ1つのクリンチング・ファスナーの種類においては、 長さや直径、材質などの違いによって、さらに数十〜数千の商品が存在します。  つまり、米国PEM社のクリンチング・ファスナー類の ラインナップは、少なくとも3万種類は超えている事になります。

PEM社は、沢山の特許も得ており、 何人もの学者さん達が、日々、新しいクリンチング・ファスナーを 考案してヒット商品を世に送り出そうとしています。

このような体制で、新種のねじ類を開発しようとしている組織は、 残念ながら、現在でも日本にはありません。

また、PEM社の製品は、日本で生産される 家電製品の板金部品に取り付けるねじ類としては、高価な場合が多く、 そのために、PEMの真似をした商品が多数発売されています。  このように述べると “ 日本も中国みたいにマネをしたの? ” と思われる方もおられるかも知れません。  ですが、例えば“ねじ”そのものも、最初は日本で考案されたものではありません。  こういったものを、最初に考えた人達だけしか使えないとなると人類の進歩にブレーキが掛ってしまいますので、 発明当初、特許等で守られたものは別にして、良いものをマネするのは、当り前の行為です。

クリンチング・スペーサーやクリンチング・ナットは、 元々PEMの特許でしたが、期限切れとなり、 今では、多くのメーカーから同種の製品が発売されています。

昭和時代における日本のクリンチング・ファスナー

板金製品に “ ねじ ” を取り付けたいというニーズは、 安定した鋼板が供給されるようになると同時に発生した、ごく当然のニーズです。  現在では、鋼板と言えば板厚1mmが普通ですが、 これが、安定した品質で供給され、 大量に使用されるようになったのは、戦後の事になります。  筆者の記憶では、昭和60年には、一般の板金屋さんは、 まだクリンチング・ファスナーという言葉は知らず、 溶接ナット や、バーリングタップ (左画像)が多用されていました。
しかし、これらは、共にめねじで、 雄ねじを鋼板に直接取り付ける方法は、 無理をして “ 雄ねじ ” を鋼板に溶接する以外にはありませんでした。  昔(昭和末期)には、そのような工法もあったと聞きます。

日本の、そういった時代に米国PEMは、 既に、クリンチング・ファスナーの特許を出願し、 商品化を行っていた わけです。

日本は、少し反省した方が良いかも知れません。  クリンチング・ファスナーは、 板金と機械の狭間にあり、学者はこの分野の研究をしても 発表の場すらなかったはず。  日本機械学会と 日本塑性加工学会にほんそせいかこうがっかい の中間に位置する技術という事になるはずです。
このニッチな分野の研究開発が進まなかった事により、 日本の板金が遅れを取る事になったのです。  気付いた時には、クリンチング・ファスナーの特許は、 全てPEMに持って行かれた後でした。

日本で、クリンチング・ファスナーが多用されるまでには、 さらに、もう少し時間が掛ります。


平成に入ってからの日本のクリンチング・ファスナー

平成になると、鋼板に雄ねじや雌ねじを取り付ける方法として、 スタッド 溶接ようせつ という 工法こうほう が、急激に浸透して来ます。

スタッド溶接は、一瞬で、鋼板にねじを溶接する事ができます。  銅めっきを行い、 通電性つうでんせい を高めたねじの 接合面せつごうめん には、小さなチップ(ポッチ)が付いており。  このチップが、言わば 溶接棒ようせつぼう です。  一瞬の中で、前半はアーク溶接、後半は 圧接あっせつ を行い、 人の感覚では、“パチン”と音がした瞬間に溶接が完了します。


普通は、板厚1mmの板で溶接を行えば、 熱歪みねつひずみ で板はベロベロに歪んでしまいますが、 放電時間や 圧接あっせつ に替るタイミングを精密に制御する事により、 現在では、歪みが出ない事は勿論、裏面への影響もなく、 溶接焼けも全く無い溶接が可能です。

日本の多くの板金屋さんで、M3以下の小さな雄ねじを、 板厚1mmの鋼板に、何十箇所も溶接する事が可能になりました。  この事は、日本工業会レベルでは、 板金製品の適用範囲を大幅に広げる効果があったはずです。  現在、多くの板金屋さんでは、スタッド溶接機とスタッド溶接ガンは、 スパッタが飛ぶので、工場の片隅の、 あまり綺麗とは言えない場所に置かれている事が多いようです。

しかし、溶接という工法の持つ問題点の多くは、 解決していたスタッド溶接でしたが どうしても解決出来ない問題点もあります。 それは、接合強度は高いが、溶接不良が発生し易い という点です。  溶接不良が発生し易い原因は、根本的には 板金屋さんが溶接条件や溶接環境を 管理する事が不得意 であるという点が否めません。

筆者は、板金屋さんがスタッド溶接の条件管理を完全に行えるのであれば、 クリンチング・ファスナーよりもスタッド溶接の方が 優れた工法ではないかと思う事があります。  塑性加工によって、母材が食い込むだけのクリンチング・ファスナーよりも 両者が溶融し合ったスタッド溶接の方が、強度が高いのは当然です。  熱歪みの問題も、 通電時間つうでんじかん を短くし、鋼板の表面が少し溶けるだけで しっかりと溶接する方法が確立されています。

また、ドイツでは、 異種金属いしゅきんぞく のスタッド溶接などの開発も、進んでいるようです。  さらに、スパッタも飛ばず、横向きや上向きであっても接合できるスタッド溶接機もあります。  スタッド溶接の抱えた全ての問題点は、本当は解決しているようなのです。

でも、これらの条件設定は、日本の板金屋さんには難し過ぎるようです。  ドイツのマイスターには、使いこなせる溶接機なのに、日本の板金屋さんには使いこなせない。  本当に、日本の技術レベルは高いのでしょうか?  

近年における日本のクリンチング・ファスナー

クリンチング・ファスナー に話を戻しますと。  日本の板金設計や機械設計では、 こういった板金屋さんの溶接事情も原因となり、 脱溶接だつようせつ という考え方が広く浸透してしまったために、 スタッド溶接からクリンチング・ファスナーへの進化という道に進む事となりました。  特に、2000年くらいから 大量に生産された薄型テレビに使用 される ねじ類では、それまで使用されて来た、 両端ねじのスベーサーから、ねじは片側だけで、 もう片方はクリンチングとなっているクリンチング・スペーサーが、 体積や軽量の理由から多用されるようになり、 加速的にクリンチング・ファスナーの普及が進みました。 3種類のクリンチング・ファスナー
皆さんのご家庭にある、1台の薄型テレビには、100〜300個の クリンチング・ファスナーが使われています。  その爆発的な消費量を考えれば、 今後、他の家電製品にも、どんどん多用されるようになる事は間違いありません。  薄型テレビの設計には、各家電メーカーが、しのぎを削って優れた設計を争いました。  今後、その設計技術は他の家電製品にも展開される事になるでしょう。


これからの日本のクリンチング・ファスナー

そんな中で、クリンチング・ファスナーに携わる私達は、 クリンチング・ファスナーの技術的な情報を公開して行かなければ、 “ PEMの製品とコンバチで使えます。 ” というだけの商品となってしまいます。  英語で書いてある、PEMの技術情報を、きっちりと読める設計者ならば、 薄型テレビの設計者と同じように、クリンチング・ファスナーを使いこなせるでしょうし、 このホームページも必要は無いのかも知れません。  しかし、そんな方は一握りのはず。  クリンチング・ファスナーの真の普及を考えた時、 このホームーページの必要性は、極めて高いはずです。

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