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2.不具合解決方法

4.磁気吹きは常に発生

3. スタッド溶接における 磁気吹きじきぶき とは

スタッド溶接は複合溶接

スタッド溶接における 磁気吹きじきぶき を説明する前に、 スタッド溶接という 工法こうほう について理解する必要があります。

皆さんはアーク溶接 という 工法こうほう を御存じでしょうか?  一言でアーク溶接と言っても様々な方法があるのですが、 空気(気体)中の 放電現象ほうでんげんしょう (アーク放電)を利用し、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接法です。  母材ぼざい と電極( 溶接棒ようせつぼう 、溶接ワイヤ、 TIGティグ トーチなど)の間に発生させたアークによってもたらされる高熱で母材および 溶加材ようかざい (溶接ワイヤ、溶接棒)を 溶融ようゆう させて分子原子レベルで 融合ゆうごう 一体化する 接合法せつごうほう であり 接着せっちゃく とは異なります。 よく昔はアーク溶接の事を 電気溶接でんきようせつ と言っていました。

これに対して 圧接あっせつ という工法があります。  圧接あっせつ とは溶接の一種で、金属の表面を密着させ、熱、圧力を加えることで原子同士を 金属融合きんぞくゆうごう させて接合する 工法こうほう です。 板金屋さんにとって、 圧接あっせつ とはスポット溶接の事です。


実は、スタッド溶接を語るには、この2つの溶接の事が解っていないと理解不能となります。  スタッド溶接は一瞬で溶接作業が終了してしまいますが、 その一瞬の中で、前半はアーク溶接、後半は圧接 を行う複合溶接だからです。

磁気吹きじきぶき は、スタッド溶接の2つの工程の前半でのみ発生します。  筆者は、板金のスタッド溶接における 磁気吹きじきぶき について論じている 日本語の論文を見た事はありません。  磁気吹きじきぶき に関する情報は、もっぱらアーク溶接の論文等から知識を得るしかありませんが、 その発生メカニズムはアーク溶接の 磁気吹きじきぶき と全く同じです。


磁気吹きじきぶき の発生メカニズム


クリックで拡大します。

スタッド溶接では、まず、スタッドの先端から 母材ぼざい ( 鋼板こうはん など)に向かって、 電子が飛び出し 放電ほうでん が始まります。 この時の熱でスタッド先端のチップが溶けます。  一方、飛び出した電子は母材に向かって飛行( 放電ほうでん )するわけですが、 こいつが間直ぐに飛ぶとは限らないという事実が重要です。  野球のピッチングに例えれば、カーブやシュートが飛んでくる事があるのです。  ここで、放電(アーク)は直球だけではないという事を覚えておいて下さい。

この放電(アーク)は、同時に強烈な 気流きりゅう も発生させます。  溶けた鉄はこの気流に巻き込まれて、母材側にベチャッと付きます。  直後に、スタッドがバネの力で 没入ぼつにゅう します。 そして周囲の温度が 熱伝導ねつでんどう急冷きゅうれい されて溶接が終了します。

話を戻しますと、問題は、 放電ほうでん (アーク)が直球ではない場合です。  この原因は 磁気じき です。  アークが磁気の影響で、まるで風に吹かれたように流れるので 磁気吹きじきぶき と呼ばれています。

中学校の時にフレミングの左手の法則というのを習ったはずです。  フレミングの左手の法則は、電流と 磁界じかい と力の関係です。  中指が電流、人指し指が磁界、親指が力で、 電流が磁界の中を流れる時、力を受けるというものです。  この3つの関係を利用してモーターや発電機が作られています。  この現象の事を 電磁誘導でんじゆうどう と言います。

何故、この3者の関係が存在するのかと質問されたい方も多いと思いますが、 それは 相対性理論そうたいせいりろん で、あのアインシュタイン先生が説明されたのだそうです。  ご興味のある方は、ローレンツ力 などのキーワードをネットなどでお調べ下さい。

放電現象とは空気中に電流が流れる現象です。  もし、そこに磁石を近付ければ放電(アーク)は力を受け真直ぐには飛ばなくなります。  でも“スタッド溶接の周囲には、磁石なんか無い!”と言われる方も多いのではないでしょうか?  ですが、磁石と同じ磁界の発生源がある のです。  それは、母材(板)の中を流れる放電後の電流で、電流が流れれば磁界が発生するのです。  母材の中に入った電子は急カーブし、そこからアースの方向に向かって流れます。  そこから発生する磁界によって放電(アーク)は力を受けて傾斜してしまうのです。

磁気吹きが発生したら、溶けた鉄はスタッドの真下には落ちません。  そこに、スタッドが没入する訳ですから、半分しか溶接されていないなどの不具合が発生します。

逆に言えば、母材から横方向のアース・クランプではなく、 板の下に鉄の かたまり があって真下に電流が抜けるのであれば、放電(アーク)は直進します。

業界の対応とユーロテックの考え方

これまでのスタッド溶接機では、 磁気吹きじきぶき が発生するのは当り前の現象であり、 それを是正するのは、スタッド溶接を使う人達のノーハウであるという考えでした。  確かに、溶接というものを良く理解している人達にとっては、 それがノーハウとなり、他社には出来ないスタッド溶接が、うちは出来るという事になり、 仕事が来たのかも知れません。  しかし、設計者にとっては大きな不都合となってしまいます。

また、 熟練労働者じゅくれんろうどうしゃ の退職により、 磁気吹きじきぶき 対応のノーハウが継承されず、 困っている板金屋さんもおられます。

潟ーロテックは、 磁気吹きじきぶき を発生させないようにする事は、 今や、製造業のノーハウでは無いと考えています。  何故ならば、どんなに 磁気吹きじきぶき を発生させないようにしようとしても、 どうしても 磁気吹きじきぶき が発生してしまう形状が多数存在し、 スタッド溶接自体の適用範囲を著しく狭めているからです。



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