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30.売れ筋のクリンチング・ファスナー

32.材質と板厚へのクリンチング・ファスナー対応MAP

31.クリンチング・ファスナーの検査方法

このページでは、クリンチング・ファスナーに限定せず、 ねじ類一般に関する検査体制と不具合発生時の現状と対策について述べます。

公式には、何処の ねじメーカーも検査体制について質問された場合、

JIS Z 9015-1(ISO 2859-1)
計数値検査に対する抜取検査手順
第一部:ロット毎の検査に対するAQL指標型抜取検査方式
に従った抜取検査を行っています。

という答えを返すものと思います。 そう聞けば “ きちんとした事をやっているのだろうなぁ ” と思われるかも知れませんが、 実は、その内容とは、以下のようなものです。




この内容では ねじ類の検査基準としては不十分です。
大手企業では、1つの不具合も認めず、厳しく原因追及を行いトコトン是正するというのが、 不具合に対する姿勢であるはずです。
であれば、上記を、よく見ればザル。 そもそも、抜取検査ではダメなのです。
  “たまには不具合品が混入する事もありますが
  これ以上は出来ないので大目に見て下さい”

と言っているようなものです。

しかし、何処の ねじメーカーでも、人件費等から考えても、このレベルの検査しか出来なかったので、 解ってはいながら、仕方なくこのレベルで検査を行っていた、 というのが本当のところです。

板金屋さんの ねじ類管理事情

しかし、多くの板金屋さんは、ねじ類に不具合品が混入している事を、全く想定しておられません。
  “そんな手間はかけられない” というのが板金屋さんの本音でしょう。 

多くの板金屋さんでは、ねじ類をねじ屋から買った後、検査などはせず、いきなり製品に使用します。 

話が少し脇道に逸れますが、
多くの板金屋さんでは、受入検査をしないだけでは無く、 同一サイズのねじを1つの箱に入れて管理をされており、 ねじを買ってきたら、袋を空けて、バサッと箱の中に入れてしまいます。  そのために、トラブルが発生した場合、そのロットや、場合によってはメーカーすらも解らなくなります。  何処の ねじメーカーさんも、何度も他のメーカーの不具合対策を、させられそうになった事があり、 そんなわけで、何処の ねじメーカーさんも板金屋さんに対して下記ような提案をしているようです。

“バサッと入れるのはやめて袋のまま入れておいて下さい”

このような ねじ管理状態ですから、 発生時点で発生ロットが正しく特定出来ているのは、不具合の半数くらいに過ぎず、 実際は、ロットは類推となるケースが不具合全体の約半分です。  ロットも解っていないのに、ねじメーカーは不具合処置を行わねばならない訳です。


不具合発生時の事情

話を戻しますと、 AQL指標型抜取検査方式レベルでの検査の場合は、実際はザルですので、 ねじの受注数自体が、もの凄く多い事も重なり、 ねじメーカーには不具合案件が毎日のように来てしまいます。

不具合が発生すると、板金屋さんは、大手企業から厳しく対策書等を求められます。  ところが、板金屋さんには、この対策書が書けない場合が多い。  その理由は、ねじ類の事情を御存じ無い事と、文章作成能力が欠如しているという事によります。

結果的に、板金屋さんとしては、出来る限り、ねじ屋やねじメーカーに対策書を書かせようとする事となります。  板金屋さんで発生した ねじ類の不具合の30〜40%は板金屋さんに原因があり、残りの60〜70%は、 ねじメーカーに原因があります。  不具合を起こした原因は、ねじメーカーにある場合が多いので、 全てのねじメーカーには、対策書作成のプロかそれに類する人がいて、これらに対処しています。

ねじ業界独特の特殊な悪習慣

このような流れを、長年繰り返していた結果、 ねじ類に不具合は付きものといった状況に陥り、 ねじ業界には独特の不具合発生時の後始末の方法が生まれてしまいました。

それを、一言で言うと
    『 ねじメーカーが大半の責任を負わされる 』
という事です。 

例えば、1つの製品の中で不具合品のねじが発見されたとしましょう。  1つ発見されたという事は、それ以外にも同じような不具合品があるのかも知れません。  そこで、これまで作って来た在庫品のねじを調べ上げる必要が発生します。  そして、ねじの不具合が発見された製品はオシャカになる場合が多い。  これらに掛った、検査費用の全額と、 オシャカになった製品の費用を全額負担する事を要求するというものです。  特に、その製品には納期が迫っており、 一両日中に何千という製品の内部に其々10個以上取り付けられた、 ねじの検査(10,000個)を行わねばならなくなった場合などは、 ねじメーカーでは、社員総出の悲劇が発生します。

実際に、交渉後、 何十万円、何百万円を ねじメーカーが支払ったというケースは、毎年何度も耳にします。  ねじメーカーにしてみれば、 ねじがどの様な高価な製品に組み込まれるのかは、全く管理できません。  判例では、商品の値段を超えるペナルティーは発生しないという事に出来るはずです。  しかし、板金屋さんに入り込んだ ねじ屋が ねじを売ろうと営業活動を行った時、契約を結ぶ最後の段階で、 『不具合発生時には ねじメーカーが全ての責任を負う』という条件を 了承させようとする板金屋さんも後を経ちません。  それどころか、『大半の責任』を負うのが ねじメーカーというものだ という不平等な風潮 が存在し、何ら契約などはしていなくても『大半の責任』を要求される事も当り前です。

これらの不平等な風潮は、もとをただせば、ねじの検査体制が、 AQL指標型抜取検査方式レベルで良いとされて来たにも関わらず、 いざ不具合が発生した途端、集団的アルツハイマー病が発病、 その事を皆揃って忘れてしまう という点に原因があります。  ですが、直接的な原因が自社にある可能性が高い中、ねじメーカーの営業担当者は、 そういった事に気付いていても、それを口にする事はできません。  板金屋さんも大手企業さんも、 AQL指標型抜取検査方式レベルの製品である事を解っていて仕入れたのであれば、 これは、稀に不具合品が混入する事を認めたのと同じ事です。  自分達も不完全な検査でありながら、 その大半の責任を、ねじメーカーに押しつける事など出来ないという点を、 十分に理解されるべきでしょう。

また、大手企業さんには
“勝手に板金屋や ねじ屋が起こした不具合なんか知らん! どちらかの責任に決まっている!”
というお考えの方も多いと思いますが、 常日頃のコストダウンの要求が、これを引き起こした元凶である事を忘れておられるように思います。  ねじメーカーは、何処だって高価な自動選別装置等を設備投資したい のです。  しかし、大手企業さんからのコストダウン要求により、ねじ製品の価格は下がる一方で、 第一優先の社員の給料を上げる事が出来ず、 当然のごとく、第二優先の設備投資も長年出来ない状況にあります。

誤解の無いように申し上げてきますが、 勿論、筆者は、不具合が発生しても構わないとは言っておりませんし、不具合は一刻も早く根絶すべきものです。  しかし、不幸にして不具合が発生した場合の不平等もしくは理不尽について述べている訳です。


AQLを遥かに超えた自動選別機を用いた品質管理

最新鋭のCCDカメラを用いた、ねじ類専用の選別機というものがあります。  これらを導入する事により、人間では不可能な、高速、高精度のねじ類の選別が可能です。 製品のシルエットをカメラで捕え、ベクタライズする事により、寸法の不具合を一瞬にして 見つけ出す事が可能で、1時間当たり10,000個を超える全数選別が可能です。



選別機を用いれば、多くの不具合品の流出を防止する事が可能ですが、 このような検査には、JIS Z 9015-1(ISO 2859-1) のような基準はありません。

しかし、その能力は確かなものであり、例えば、スペーサー RST-6.2-M3-10 ( 長さ10mm ) が 10万個あるとして、その山の中に長さ 10.2 mm のものを1個混入させてかき混ぜてしまったとしても、 100%の確率で、数時間の間に、それを抽出する事が出来ます。  これに対してAQLでは、ほぼ確実に板金屋さんへの異品流出=不具合となってしまいます。

勝負あった

ちなみに、Eurotecさんの検査体制は、クリンチング・ファスナーの売上に対して、 選別機を中心とした検査機器に投じておられる設備投資費用は業界No,1だそうです。  何台もの全数選別機を保有し、全部の標準的クリンチング・ファスナーを全数選別されています。  無論、それに比例して不具合発生率も極めて少ないのだそうですが、 他社の不具合データが無いために、他社との比較は出来ないのだそうです。

選別機はオールマイティーか?

その答えは、一応はNoです。 選別機はシルエットを使った形状認識が基本であるために、 たまたま補足した断面に関しては完全な選別が可能ですが、例えば、別の方向から見た場合の 不具合は補足出来ない場合が理論的にはありえます。 
そうは言っても、ねじ類は、ほぼ回転体ですから、一方向から見たら不具合では無かったモノが、 他の方向から見たら不具合品だった等という事は、ほとんど発生しません。  しかし、前に述べたロレーット欠けの問題 などは、 少なくとも横からのシルエットでは補足不可能です。  また、ねじの有無を判別する事は出来ますが、ねじゲージと同等の検査は、 ねじ部の全周を見なければなりませんので、いくらCCDカメラを駆使しても不可能です。

選別機で出来る事は、不具合品の流出を極限まで減少させる事ですが、所詮0にする事は出来ません。  99%の不具合は選別機で無くせますが、あと1%は人間の努力で無くさねばならず、 そこのところが、最も重要な、ねじメーカーのノーハウという事になるでしょう。
しかし、現代のねじ類の品質管理にとって、自動選別機の存在はとても重要です。  人間の努力で解決すべき不具合要因を、僅か1%に減少させる事が出来るからです。  残りが僅か1%ならば、十分人間でも対応できます。 

例えば、電車に乗って何処かに出かける時に、 “電車は俺の家の前には停まらないので使えない”と考える人はいないと思います。  99%は電車で移動するのだけれど、最後の1%は徒歩になってしまうのは当たり前ですね。   体の事を気にして少しは歩いた方が体に良いくらいです。  自動選別機もこれと同じ理屈です。  オールマイティではありませんが、もし無ければ、日常の通勤や帰省にも困ってしまいます。





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