クリンチングファスナー 全長が長過ぎる


運営;クリンチングファスナー普及委員会
スポンサー;株式会社ユーロテック
M3ねじの難しさ 半端な長さの使用

トラブル対策5 全長が長過ぎる

全長が長過ぎるクリンチングファスナーの使用は避けて下さい。
これは、クリンチングファスナーだけではなく “ ねじ類 ” 全般に言える事ですが、 M3やM4において、長さ20mmを超える“ねじ”を使用すべきではありません。

ねじの長さが長くなれば、当然、その末端に作用する力は、その長さに比例して大きくなります。 つまり、同じ重さを支えるとして、2倍の長さになれば、その耐久力は半分になります。 これをモーメント( 力積りきせき )と言います。 同じ直径を持つクリンチングファスナーでも長さが異なれば、同じ耐久性では無いのです。


例えば、M3で長さ30mmのクリンチングファスナーが販売される場合がありますが、 どう考えても、設計ミスのようにしか思えません。 このようなサイズは、無論、需要も少なく、高価であり、 何処も在庫を持っていない事が多いので、設計者にも製造者にも良い事は何もない上、 長持ちする設計になるはずがないからです。


短い方が好ましい    
では、クリンチングファスナーにおいて、 何処までの長さが適切な長さと言えるのでしょうか? 
このグラフは、長さ別のクリンチングファスナー『めねじM3』の販売比率です。 このグラフから言える事は、クリンチングファスナーの常識的な長さは12mm以下であるという事です。

クリンチングファスナーの商品別販売推移を調べると、 ここ1~2年の間、長さが短いクリンチングファスナーの販売実績が増える 傾向が見受けられます。

長いクリンチングファスナーの生産上の不都合

上記には、長いクリンチングファスナーが使用され製品になった時の 力学的な不都合を述べてきました。 しかし、製品になる前、クリンチングファスナーの 製造段階でも下記のような不都合が発生します。

クリンチングファスナーが長い事によって誘発される製造段階の不具合 には以下の様なものがあります。 なお、これらは、クリンチングファスナーが長ければ 確実に発生するというものでは無く、発生し易くなるに過ぎません ので 勘違いのないようお願いします。 また、この内容は、全てのクリンチングファスナー・メーカーで共通です。

① ローレット部の割れ

別ページでも説明しますが、長いクリンチングファスナーは当然、重量も増します。 めっき時に均一なめっき厚を得るために必要なシェイクを行うと、 一番、クラックが発生し易いローレット部分が割れる事があります。

 関連ページ; 
発生が予防できない不具合

② 検査ミス

長いクリンチングファスナーは、多くの場合、自動選別機が使用できません。 サイズが合わないのです。そのために全部の検査を作業員が手作業で行う事になります。 機械と人間の勝負になるわけですが、人間は短時間においては正確さで機械に勝る部分があるものの、 機械は疲れを知りません。結果的に、不具合品の見逃しが100%無いとは言えない状態になります。

 関連ページ; どうやって検査してるの?

③ めっきの色ムラ

クリンチングファスナーが長くなれば、めっきされる部分の面積も増加します。 短いクリンチングファスナーでは発生しない色ムラは、長くなれば発生し易くなります。

④ 不均一な、めっき膜厚

クリンチングファスナーが長くなれば、めっきされる部分の面積も増加します。 短いクリンチングファスナーでは、均一なめっき厚が得られていても、 長くなればなるほど、均一性は失われ易くなります。

⑤ 不均一な、熱処理

短いクリンチングファスナーと長いクリンチングファスナーとでは、 長い方が不利になります。

上記は、全てのクリンチングファスナー・メーカーで共通の内容です。
これだけ沢山の、不都合の入り込む余地があるという事を知れば
長いクリンチングファスナー( 13mm以上 )の使用は敬遠して頂けるものと確信します。

長過ぎた絶滅種

M3ねじの難しさ 半端な長さの使用