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5.磁気吹きの従来対策

7.設計への影響

6. スタッド・チェッカー (非破壊の倒れ試験機)

スタッド・チェッカーは、潟ーロテックが販売しているスタッド溶接不良の 検査機器けんさきき ですが、 その前に、スタッド・チェッカー登場前のスタッド溶接不具合チェック方法を説明します。

スタッド溶接を行ったワークをハンマか工具を使って曲げます。  そして、スタッドが曲がるのか、それとも、接合部が がれるのかを判定します。

正しく溶接が行われていれば、溶接箇所はスタッドや板よりも高強度になります。  これは、スタッド溶接以外の溶接においても共通の、いわば、溶接の常識です。  何故、高強度になるのかと言うと、主な理由は、溶接が終わった時、 接合部は周囲が低温(常温)である事により 急冷きゅうれい されて、いわゆる 焼き が入るからです。 

溶接に不具合があれば、スタッドが曲がる前に剥がれます。  不具合が無ければ、スタッドよりも高強度なので、スタッドが曲がるわけです。

この方法は、スタッドが自分自身よりも高強度で板に 接合せつごう された事が、 はっきりと解ります。 しかし、大きな問題点があります。  それは、この検査を行えば、製品が“お 釈迦しゃか ”になってしまうという事です。  (日本のものづくり業界独特の表現で、壊れて使い物にならなくなった製品の事を“お釈迦”と言います。)

従って、この方法は出荷した製品、そのものの 接合せつごう チェックを行う事は出来ません。  あくまで、間接的な検査しか出来ないのです。

スタッド・チェッカーとは?

スタッド・チェッカーは、 倒れ試験たおれしけん を行うという点では、上記の検査方法と同じですが、 プリセット型トルクレンチを用いて、 実際にスタッドが曲る直前で力を加えるのをやめるというものです。

接合不良せつごうふりょう の場合は、曲る程の力を加えなくても剥がれるので、 十分なチェックを行う事が出来ます。

このチェック方法は、日本で開発されたものではなく、 ヨーロッパの工業規格に示されている内容となります。  逆に言うとJISにはスタッド溶接に関する情報は何も記載されておらず、 当然、倒れ試験によるチェック方法も記載されていません。

ですが、科学的に見て有効ですので、 板金屋さんで、出荷前にスタッド溶接の溶接不具合を見つける方法として大きな効果があります。

スタッド・チェッカーでよく質問を受けるのは、プリセット値についてです。  スタッド・チェッカーでは、プリセット値を超えると“カチッ”という音がして それ以上の力が加わらないようになっているのですが、 その値の根拠について聞かれるのです。

スタッドの直径毎にスタッドが曲がる力は決まっています。  その力の大きさは力学計算を行えば計算する事が出来ます。  この計算方法を教えてくれと言われて困る事があります。  と言いますのは、この計算方法をお教えする場合には数学力が必要となります。  「 材料力学ざいりょうりきがく 」の「 片持ち支持梁かたもちしじはり 」という計算になるのですが、 これは工学系の大学で教えている内容です。  従って、理科系の大学受験に合格するレベルの数学力を お持ちでなければ説明を聞いてもチンプンカンプンとなります。

一応、下記で資料をダウンロード出来るようにしておきますが、 これに関する質問は、理科系大学の先生方や参考文献にお任せしたいと思いますので ご了承ください。
ダウンロード;スタッドの接合部に発生する応力に関する資料

多くの方には、材質がはっきりしていて、直径がわかっている時、 その材料が、どれだけの力を受ければ曲るのかが 計算できるという事だけ ご理解頂ければ良い と思います。 スタッド・チェッカーでは、硬い材質ほど大きな値。  大きな直径ほど大きな値を設定するようになっています。

もしも、このような計算が出来ないとしたら、 構造物や自動車を設計することなど到底できない事ですし、 安心して乗り物に乗る事も到底できないので、設計者の方は皆(?)こういった計算が出来ます。

スタッド・チェッカーは、スタッド直径毎に、この計算が行ってありますが、 その値のままでは、曲る事もありますから、 少し小さな値を設定するようになっているのです。 
当然の事ながら、多くの実験結果とも完全に一致しています。

スタッド・チェッカーは、スタッド溶接の接合不具合にお悩みの 板金屋さんで多数の実績があります。  スタッド溶接を行ったら、 その全部をスタッド・チェッカーでチェックしておられる板金屋さんもおられます。  決して効率の良い確認方法とは言えませんが、 これ以外の 非破壊検査方法ひはかいけんさほうほう は存在しない ので、 手間が掛っても仕方がないというのが板金屋さん達の本音です。

ですが、このスタッド・チェッカーは、 スタッド溶接の不具合流出を防ぐ事は出来ても、 発生自体を防ぐ事はできません。  つまり、お 釈迦しゃか 発見機に過ぎないのです。  かといって、スタッド・チェッカーすら持っていないというのでは、 他に、不具合を発見する術が無いという点が実に悩ましいのです。

詳細なスタッド・チェッカーの使い方  −スペシャル・コンテンツ−

ここまで述べて来たスタッド・チェッカーに関する内容は、 ダイジェストに過ぎません。  スタッド・チェッカーを買おうかどうか迷っている方や、 既に、買ったのだけど使い方について、もっと、詳細な情報を得たい方のために、 さらに詳細な情報を以下に述べたいと思います。

最近、スタッド・チェッカーの 『 まがいもの 』 も発売されているらしいので、 このページの情報を流用されたくはないのですが、 このような情報をネットに流す事は 本家本元ほんけほんもと にしかできない事であるとご理解頂ければ幸いです。

まず、スタッド・チェッカーは一種のトルクレンチです。  一定の値をスタッド・チェッカーにセットして、トルク(この場合倒す力)を掛けて その力が大きくなってゆくと、セットした力の大きさになったところで、 “カチ”という音がして、セットした力の大きさに達した事が解ります。

なので、とりあえず、このプリセット値がスタッド・チェッカーの肝です。

潟ーロテックからスタッド・チェッカーを買うと、 スタッドの直径ごとに「プリセット値が書かれた表」が付いてきます。  この表は、スタッド・チェッカーの本体以上に価値があるはずですが、 それは、プリセット値が自分で計算できない人達にとっての話です。

大学で機械系や建築系の専門学科目を習得した社員の方がおられれば、 大学ではこれが必修科目ですから計算は可能です。  国公立もしくは有名大学の機械系を卒業された方であれば、 計算できなければ恥ずかしいと考えるべき内容です。  中には、もう忘れてしまったという方もおられるでしょうが、 そんな方でも、数日勉強しなおせば、どうにかなるはずです。 

幸いにも詳しい方がおられて、力学的な内容を理解できる会社の場合は、 これ以降に書いてある事は釈迦に説法となります。

ですが、そんな社員がおられない板金屋さんは、 プリセット値が書かれた表を頼りに、 スタッド・チェッカーを使うしかありません。  ところが、スタッド・チェッカーを使う以上、 そのチェック方法を顧客に説明する力量を求められる事があるはずですし、 自分自身、納得していない、もしくは、説明できない仕事を、 長時間に渡り社員に実行させるのには問題があるでしょう。

スタッド・チェッカーの正しい使い方

そこで、まず、 スタッド・チェッカーの実質的な考案者である筆者自身が、 「プリセット値が書かれた表」を使わないで スタッドの倒れ試験を行う方法 を御説明したいと思います。  ここで行う方法を理解できれば、(誰でも理解できると思います) 難しい計算を理解したのと実質的に同じ事になります。  その手順はこうです。

  @ チェックしたい製品を1〜2個だけ用意します。 
    これは、正しく溶接されたものを用意して下さい。 
    結果的に、これらは曲げられて使えなくなりますので
    壊れてもかまわないものを用意して下さい。

  A スタッド・チェッカーのプリセット値を小さな値にセットし
    少しずつ大きくしながら、用意したスタッドが曲り始める値を探して下さい。

ここで得られた値(N・m;ニュートン・メートル)が、その直径のスタッドが曲がり始める値です。  この値より少し小さな値を、 それ以降のスタッド・チェックのプリセット値とします。  例えば、2N・mで倒れたとすると、1.8N・mとかをプリセット値とします。

スタッドの直径が変わったら、また同じ事を行って、 「プリセット値が書かれた表」を自社に合わせて書換えます。  様々な直径のスタッドを使用している場合は、 何度も、この設定値探し実験を行う事になり面倒ですが、 こが本当のスタッド・チェッカーの使い方です。

計算で求めた「プリセット値が書かれた表」が付いているのは、 あくまで、やった事の無い材質や直径のスタッド・チェックを行う場合の 目安に過ぎません。  この表には、力学計算で求めた、 スタッドが倒れ始める力を0.6倍した値が書かれています。 

何故0.6倍なのかと言うと、これをもし0.9倍などにしてしまえば 不具合品が出過ぎたり、不具合ではないスタッドを曲げてしまったりする恐れがあるからです。  何処の板金屋さんでも使えるようにするには、 大ざっぱ過ぎる事は解っていても、0.6倍の表を作成するしかありません。

ところが上記のように、自分の会社で スタッドが倒れ始める力を実験によって求めた場合は、 0.6倍などという緩い検査ではなく、 0.8倍や0.9倍の厳しい検査が可能となります。

筆者ならば、とりあえず0.9倍でスタッド・チェックを行って、 その後、溶接部が剥がれるのではなく、スタッド側が曲るような事が発生したら、 少し甘くして0.8倍をセットするでしょう。 

違った方向に倒す必要があります。

スタッド・チェッカーで接合チェックを行う場合、 一度、倒れ試験を行っただけではダメです。  というのは、磁気吹きが発生する事を、想定した場合、 どちらの方向に扁肉が発生しているかは解らないからです。

扁肉と逆側(肉が少ない方)が持ち上がるように、 スタッドを倒した場合は、小さい力でもスタッドは倒れますが、 それ以外の方向に倒した場合はスタッドは倒れません。

そのため、一度、スタッド・チェッカーで倒れ試験を行った後、 スタッド・チェッカー(アダプター)を回転させ他の方向にも 何度か倒す必要があります。  筆者の考えでは、最低でも3方向、できれば4方向に倒す必要があると思います。

板側が変形する場合があります。

厚い板に溶接されたスタッドをチェックする場合は、 板が変形する事を念頭に入れる必要はありませんが、 板厚1mmなどの薄板の場合、 スタッドよりも板の方が強度が乏しい事があります。

上記に示した、実験方法を同じように行い、 板が変形してもスタッドが曲ったのと同じ事であると解釈して下さい。  板が変形し始めた値を用いて、これを0.9倍などして 設定値を求めて下さい。

もしも実験値ではなく、 計算値からこれを行うとすると、 スタッドと直径と板厚の比率を考慮し、 一定の比率以下では、板側の力学計算を行う事となり、 計算も考え方も複雑になります。 

スタッド・チェッカーに添付されている 「プリセット値が書かれた表」には、 この事も記載されていますが、 いつもこの説明には苦労しています。 

論より証拠

ここでご説明した方法は、計算値ではなく実測値を基に、 スタッド・チェッカーを活用する方法です。  「プリセット値が書かれた表」を使う方法は、 解る人にとっては理論的な裏付けがありますが、 この表を使う場合にはいくつかの弱点があります。

 @ プリセット値の算出方法説明には工学的な知識が必要
 A スタッド・チェッカーは合格でも、ごく稀に結果が外れる。

スタッド・チェッカーは既に、300set以上出荷されていますが、 Aに該当した例は、僅か1例で、原因は0.6倍が大ざっぱ過ぎたためでした。  @は、毎月のようにプリセット値の算出方法を説明して欲しいという要望を承りますが、 お客様に工学的な知識が無い事が原因で最後まで理解して頂けない事もあります。  ですが、 ここまでで説明して来た実測値によるチェック方法を行った場合は、 工学的な知識が無い方でも、御理解頂けるものと思いますし、 より厳しいチェックも可能となりますので、Aに示す弱点も克服できます。

理想は、あくまで計算方法が解っている上で、実測値も考慮に入れて、 その差を考察しながら、スタッド・チェッカーを使ってゆく事です。  ですが、板金屋さんにおいては、 ここで必要な計算方法は難解であるため 実測値のみで運用する方法をお勧めしたいと思います。

なお、少々コマーシャルをさせて下さい!
スタッド・チェッカーは、定価 180,000円  潟ーロテックから発売されていて、
Tel 042-798-7177 営業担当は星。  星からは“勉強させて頂きます”との事です。

2017年3月 スタッド・チェッカー開発者


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