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7.設計への影響

9.溶接姿勢

8.磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう

これから紹介する『 磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう 』は、ドイツ連邦共和国 ソイヤー社 で開発された 世界最新鋭のスタッド溶接技術です。  筆者は、これほど日本の板金屋さんに大きな影響を及ぼす画期的な新技術は記憶にありません。  最大の特徴は、スタッド溶接時に発生するアークを 磁界じかい によって制御する という点です。  これによって 磁気吹きじきぶき は発生しません。  磁気吹きじきぶき が発生しなくなると、溶接不具合が無くなるだけでなく、 飛躍的にアプリケーションが増大します。  これにより世界のスタッド 溶接工法ようせつこうほう の常識は、全く違ったものとなり、 板金技術全体にも大きな影響を及ぼす事となるでしょう。

ここからは、その詳細について解説し ますが、まずはカタログ類をご覧ください。

カタログ類

  
磁界リング式(SRM)スタッド溶接工法を説明したカタログ
  
機器カタログとBefore&After

技術者向けダイジェスト

何故、 磁気吹きじきぶき を無くせるのか?

磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう 』では、従来のスタッド溶接機では不安定だった 溶接中のアーク 放電ほうでん磁気じき コイルで制御。 強力な 磁界じかい を 発生させる事でリング状のアーク渦巻きが発生します。  これによって周囲の 電位差でんいさ や重力の影響を受け ずにリング状の 溶融池ようゆうち が得られ、美しく 接合力せつごうりょく の高いスタッド溶接結果が得られます。  溶接箇所の周囲に強力な 磁界じかい リングを発生させる事により、最大の 溶接不具合要因であった 磁気吹きじきぶき の無いスタッド溶接が可能です。  これまで発生を予防する事が極めて困難たっだ、しっかりと溶接が 出来ているかのように見える溶接スタッドなのに外れてしまうなど の不具合が根絶できます。 

さらに、これまで 磁気吹きじきぶき の影響で溶接不可能だった部分へのスタ ッド溶接が可能。 スタッド溶接が使えるアプリケーション(製品) が大幅に増加しました。  スタッド溶接適用範囲の常識は変わりました。  例えば、これまでスタッド溶接が使えなかった パイプや、狭い面、穴開き部品の近くにも“ねじ”を溶接する事ができるようになりました。



解説; 磁界じかい リングの意味  −スペシャル・コンテンツ−

上記の内容において、 磁界じかい リングの内容は理解が困難だと思います。  そもそも 磁界じかい リングって何なのか?  そして、 磁界じかい リングがあると、何故アークがリング状に分布するのか?  私達が、いくら“これからは、 磁界じかい リング式(SRM)スタッド溶接が主流になりますよ” と言ったところで、 ここが理解できなければ “ そんなもん、信用できねぇ ” となってしまうのも無理からぬ事です。

下記の内容は、あくまで筆者の解釈であり、 実際に、ソイヤー社 から聞き及んだ内容ではなく筆者独自の解釈である事を申し上げておきます。  後になって、この解釈が間違っている事が判明するかも知れません のでご了承ください。  この事を御理解頂いた上で、 皆さんと馴染みの深い 磁界じかい リングの例を紹介し、 磁界じかい リングとスタッド溶接について理解を深めたいと思います。

ACモーターは回転磁界が使われている

まず、磁界リングを回転させる装置は、 皆さんの身の回りに多数あります。 それはモーターです。  例えば、車の中には、幾つものモーターが使われています。  一番解り易い例は、パワー・ウインドーです。  スイッチを押しても、モーターが無ければ窓が開閉するわけがありません。

モーターの構造は、中学校の理科で学びました。  プラモデルでよく使われる、マブチ・モーターを分解した経験のある方も 多いのではないでしょうか? 

右の分解画像を見て下さい。 このモーターの構造は、 3つの 電磁石でんじしゃく が回転軸の周りに固定されていて、 外側に 永久磁石えいきゅうじしゃく が付いています。  画像では緑と赤の部分が 永久磁石えいきゅうじしゃく です。  電磁石でんじしゃく のコイルも見えますね。  軸には、 電磁石でんじしゃく のプラスとマイナスを切り替える 接点せってん も付いていて、 電磁石でんじしゃく のプラス極とマイナス極が回転に伴い切り替わるために 磁石対磁石じしゃくたいじしゃく の引き合う力と反発する力を使って軸が勢い良く回転します。  この方式は、直流の乾電池にモーターを直結するだけで 動力を得る事が出来るので、プラモデルにもよく使われています。

ですが、この方式では、大きな力を得る事や、 回転数を制御する事はできません。  マブチ・モーターを使ったおもちゃで遊んでいて、 電池が減って来ると、 おもちゃの動きが遅くなった事を思い出して下さい。

そこで、もっと高度なモーターが必要になります。  それは、ACモーターと言われるモーターです。  考え方は、マブチ・モーターの磁石と 電磁石でんじしゃく を逆にしたもので、 電磁石でんじしゃく 側が外側にあります。  そして電気回路によって3つの 電磁石でんじしゃく極性きょくせい (つまりNとS)を順番に変えます。  これによって 磁界じかい極性きょくせい が回転し、 磁界じかい の中にある 永久磁石えいきゅうじしゃく がそれを受け、回転する力となるのです。

ACモーターは、回路が必要となるために、 マブチ・モーターよりも高価になりますが、 回路によって回転数を変化させられたり 交流電源で使用出来るなど、家庭用や工業用のモーターとして多用されています。  身近な解り易い例は、あなたの家にもあるであろう扇風機です。

ACモーターの軸が回転する時に発生する磁界の事を、 回転磁界かいてんじかい (他にも呼び方はある)と呼んでいて 磁界じかい リング式(SRM)スタッド溶接では、これを応用しています。

ACモーターの軸側だけを外し、 電磁石でんじしゃく 側だけを動作させると 電磁石でんじしゃく の内側には 回転磁界かいてんじかい が発生します。  その中にアークを発生させると何が起こるのでしょうか?

回転する 磁界じかい の中ではアークも回転する

アークは電子が流れる柱です。  放電柱ほうでんちゅう の周りを取り巻くように アーク自身から磁界が発生します。  この 磁界じかい が、外側からの 磁界じかい干渉かんしょう を起こすと、 何ら ささ えのないアークは大きくなびきます。  これは、 磁気吹きじきぶき が発生する基本原理と全く同じです。  回転する 磁界じかい の中でアークが発生するとアークも回転する事になります。

“少し解りにくい”という方のために、またまた大胆な説明を加えますと、 こうなります。  アークは磁石になびきます。 鉄が磁石にくっつくのと同じです。  アークを3方向から 電磁石でんじしゃく で取り囲み、回路を使って 1つづつ順番に磁石にすると、アークは3方向に順番になびきます。  回路でこのスピードを早くしてゆくと、 アークは、まるで洗濯機の渦のようにリング状に分布するようになります。 

溶融鉄ようゆうてつ はプラズマ気流によってアークと同じルートを進む

アークが発生するとアークの中には強烈な気流が発生します。  何故、気流が発生するのかという質問に対する回答は、 かなり難しいものとなります。  調べたところ正式には、
電極近傍でんきょくきんぼう での 電流路でんりゅうろ の収縮がローレンツ力による強い 電磁でんじ ピンチを 起こしてアークプラズマを 緊縮きんしゅく させ、 電極近傍でんきょくきんぼう からアーク中心部にかけて 圧力勾配あつりょくこうばい が生じ、それが駆動力となって発生したプラズマの強い流れによるもの。
なのだそうです。 右図は、その説明画像です。  正直、筆者にはよく解りませんが、下記 の事が言えます。

アークが発生すると必ず気流が発生します。  この気流は、プラズマ気流と呼ばれていて時速300kmを超えます。  温度は10,000度を超えているので、この熱で 溶融鉄ようゆうてつ は 強烈な気流に乗って、ワークの方向に飛んで行きます。

しかし、これまでのスタッド溶接では1本の動かないアークでしたが、 磁界じかい リング式(SRM)スタッド溶接では、先に述べた通り、 アークが動いて高速回転しリング状に分布します。  そのために、 溶融鉄ようゆうてつ は、中央部を塞いだお風呂のシャワーのように、 ドーナッツ状にワークに降り注ぐ事になります。

結論

例えば、 回路を取り替えて 電磁石でんじしゃく の動作の順番やタイミングを変化させれば、 そんなニーズは無いものの、 ドーナッツ型だけではなく、三角形や、四角形、星形に分布した 溶融池を作る事も理論的には可能です。 

下記は、 磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう の溶接中の概念図です。 

ここで重要なのは、アークの傍に 磁界じかい リングを発生させる事によって、 外部の 磁気じきかたよ ったアースの影響が、完全に遮断されるという点です。  これにより、 磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう では 磁気吹きじきぶき は発生しません。  言い替えますと、 磁界じかい リング式(SRM)スタッド 溶接工法ようせつこうほう は、自分から 磁気吹きじきぶき を発生させて アークを回転させる工法であり、 磁気吹きじきぶき という毒を以て、毒を制す工法 です。  勿論、いつも同じドーナッツ状の 溶融池ようゆうち が形成されるので、 常に 溶接強度ようせつきょうど の高い溶接が可能となります。  これまでのスタッド溶接とは全然違うという事を御理解頂けたでしょうか?



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