クリンチングファスナーの倒れデータが無いのは何故か?


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クリンチングファスナーの倒れデータが無いのは何故か?

通常、公開されているクリンチングファスナーの 強度きょうど データには、 プッシュアウト力 ( 圧入あつにゅう されたクリンチングファスナーを引き抜く際に必要な力 ) は、 公開されていますが、倒そうとした時の力は記載されていません。 クリンチングファスナーが、全周において100%完璧に圧入されているのであれば、 プッシュアウト力の1/3となる事は、少し力学を理解されている方であれば想像が付くでしょう。 (丸棒を曲げ始める時に必要な力は、伸ばし始める時に必要な力の1/3) しかし、現実的にはファスナーの全周において100%均一な塑性変形が発生した状態で 圧入されているはずがありません。

クリンチングファスナーを圧入しようとする時、微妙な板厚の変化が影響を与えるという話を しましたが、実は、細かく見れば、それ以外にも影響因子が存在します。

その1つは、板材が持つ 異方性いほうせい です。 鋼板などを 圧延あつえん する時、どうしても鋼板には圧延方向による影響が残ります。 つまり、圧延方向と45°をなす方向には変形し易いが、圧延方向と90°方向には変形しにくいなどという 異方性が存在するのです。 クリンチングファスナーを圧入した時、母材の塑性変形量は全周において、 極力均一になるように設計はされていますが、現実的には、均一ではありません。 これによって、 倒れ強度には、倒す方向によって、どうしても若干の差が発生してしまいます。

もう1つは、円周方向に対して均一な圧縮は行われないという点です。 クリンチングファスナーは圧入後、ねじ締付け時のトルクが加わっても、 クリンチングファスナーが回転しないようにせねばなりません。 そのために、ローレット部分にはギザギザがついており、この部分が圧入時に母材に食い込みます。 しかし、ギザギザ(22個程度の山)の山と谷の部分では、母材に食い込む体積も異なりますので 結果的には、ローレットの谷の方向への倒れには、弱い事になります。 またこの事と、材料の異方性が絡み合ってシミュレーションが極めて困難な状況に陥るという点も無視出来ないでしょう。

倒そうとした時に必要な力が、プッシュアウト力の1/3となるのは、理屈としては、倒れ方向が ローレットの谷では無く山の方向で、材料圧延方向に対して45度の時と、 それらに加えて、全ての条件(漠然としていてすみません)が、整った時であるものと予測されますが、 これらが実験によって立証された事はありません。

しかし、
何れにしても、倒す方向により倒れデータが異なる事は確かであり、 これを明記すると混乱を招くので、 結果的に、倒れデータを公開する事が難しくなってしまう のです。

そうは言っても実験データ

ですが、多くの方がお気づきの通り、そうは言っても、実際に実験は可能ですし、 必要性から考えると実験がなされていない訳がありません。 当然ながら、実験データならばあります。 下記のデータは、これまで述べて来た倒れデータを公開する事が 難しいという理由を無視して、 異方性などは考慮に入れず、スペーサーの倒れ試験を実施した結果です。 予想通り、かなり結果にバラツキが大きい中、 参考のために倒れ試験を行い平均値を求めました。 もう一度、言っておきますが、下記は、あくまで、参考値、くれぐれも、参考値です。 決してメーカーが示した保証値ではありません。  安全率等は入っておらず、下記のトルクを与えると、半数のファスナーは倒れてしまう値となっています。

技術者の方であれば、ボカシの部分のデータは、隠されていても見当が付くはずかと存じます。 実際、概ね、そのお考え通りの数値となっています。 インサーション・マシンやクリンチングファスナーの検討をされている方の中で、 ボカシの部分や、その他のファスナーなどのデータをお知りになりたい方は、 社名と知りたい理由をお教え頂けば、審査後、ご相談に応じさせて頂きます。


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